今週観た/読んだものの話。-6
今週はブルーアーカイブを始めました。無心で何かをポチポチしたくなったので。
超次元音楽祭を配信で観ました。久々のAqoursちゃんは健康にいい。早く現地でライブに行きたい。
あとはシスタープリンセスのVのライブ配信を観ました。コメント欄が20年ものの感情の塊になっていてほとんど知らない自分でもよかったなあと感動しました。堀江由衣の「Love Destiny」は知ってたので盛り上がりました。
今週観た/読んだもの
〇ドラマ
〇映画
・プリンセス・プリンシパル Crown Handler
〇漫画
・いじめるヤバイ奴
〇小説
・かか
〇ソシャゲ
・ガルパ ハロハピ3章「にこにこねくと!」
逃げるは恥だが役に立つ
作中何度も起きるすれ違いを対話を通して解決していくのが一貫していてストレスなく観れた。あまりにもちゃんと対話してるせいでタイトルの"逃げ"要素はない。
ラブコメをやりつつ作中の人物が自他両方からかけられた呪いを解いていくように収束していく展開が気持ちいい。
特別編の「ガンバレ人類!」で性にまつわる様々な価値観に焦点をあてながらどれも否定しない描き方は今まで観てきた野木亜紀子作品に共通するが、そういった視座を持たない古い価値観の人間も切り捨てることなく、対話の機会が与えられていたことが特に印象的だった。
とても良い作品なのは間違いないけれど自分が労働アレルギーなせいで登場人物が全体的に労働に対してポジティブな姿勢を見せているのがキツかった。労働、頑張らなくてもよくない?
プリンセス・プリンシパル Crown Handler
公開日前日の夜と当日の朝にTVシリーズを観返してから映画館に行きました。
TVシリーズがめちゃめちゃ面白く、映画もクオリティが損なわれることがなく安心した。
全6章の内の最初の1章ということもあり、あまり物語の核心を突くようなことはなかったが、掴みとしては十分満足度が高かった。次の2章にも期待できる。
いじめるヤバイ奴
友人間で月一でやってる読書会の今月の課題図書。課題図書指定された時は誰もがこれ大丈夫か?と眉唾だったが、しばらくして全話無料公開されて話題になり始めて笑った。
実際読んだらリアリティラインがめちゃめちゃのトンチキ漫画で最高だった。
一番好きなトンチキ野郎は生徒会選挙で筆頭候補を引きずり下ろすために自分の姓名を公的手続きで変えた奴。不発に終わって狂うところまでのスピード感が早すぎて呼吸困難になった。
主人公とヒロイン(?)がいつの間にか念話ができるようになったりと少しずつ二人の距離感が変わっていく様はラブコメ。
タコの触手プレイをし合ったりエロ方面もあるので僕ヤバと方向性が似てきたように感じる、略称も似てるし。
かか
「推し、燃ゆ」の作者のデビュー作。
「かか弁」という架空の方言で語られる文体が特徴的。
娘→母への信仰を取り戻そうと巡礼を行う話。「推し、燃ゆ」もファン→アイドルへの信仰の話であり、どちらも神を介さない現代の信仰の形が高い解像度で描かれている。
これ以外にもリアリティの高い描写が多い。たとえば、主人公が不幸のどん底に浸っている(気分でいる)と、関係が希薄に思われた従妹から自分の母の見舞いに行く電話がきたり、SNS上の友人から自信を心配するDMが届いたりすることで水を差されるなど、どこまでいってもドラマチックになりきらないところに親近感を覚える。
劇的さの足りないあっけない最後に、やるせなさを感じる。
そこそこに不幸でそこそこに優しい世界で生きていく。
ハロハピ3章 「にこにこねくと!」
「すべてが特別」だった弦巻こころが「ほんとうの特別」を知る物語。
3年以上待った。待っててよかった。
1章の「飽きるまであんたのおとぎ話に付き合う」から「あんたが流れ星ならあたし達も流れ星だよ」「あんたがやるなら付き合うよ」の変化がめちゃめちゃ良い。2章で「そっち側の住人」になった奥沢美咲の立ち位置がより強固になった。みさここ、絶対に添い遂げる。
花音、薫、はぐみの立ち回りもよかった。特に薫の描写が印象的。
普段の相手の望みを叶える王子様としてでなく、ハロハピで過ごす日常が大切だからこそこころの言葉に反する自分のエゴを通そうとする姿は、薫にとってもハロハピが「特別」なものになっていて、こころの「特別」の話への導線にもなっていた。
こころが「特別」を知ったことによって、今までもやんわり描かれていた「寂しさ」や「嫉妬」などの感情も描かれていくんだろうか。
作中でも言われていたように、こころにとって世界はそれほど広いものではなく、どこへだって行けて手が届くものだった。それが今回、弦巻こころの輪郭がハッキリしたことでその手は伸びなくなった。それは神秘性の喪失であるが、それは成長とも言える。
これからも色々なはじめての感情を知るであろう弦巻こころの旅路に祝福がありますように。
今週観た/読んだものの話。-5
今週は焚火をしてパエリアと焼き芋を食べました。おいしかったです。
今週観た/読んだもの
〇アニメ
・ef -A Tale of Memories. / A Tale of Melodies.
〇ドラマ
・SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜
〇映画
〇漫画
・私の息子が異世界転生したっぽい
〇小説
・滅びの前のシャングリラ
ef -A Tale of Memories. / A Tale of Melodies.
シャフト全盛期(諸説ある)の代表作。有名なOPを筆頭に演出がかなり印象的で画面が美しい。
千尋&蓮治パートの夕焼けの赤と月夜の青の対比が綺麗だったり、病に侵された久瀬の心臓が脈打つ時計の歯車として表現されているのがカッコよかったりで印象的だった。
また、みやこの留守電や、ミズキを拒絶する久瀬の、画面が文字で埋め尽くされる演出もショッキングで印象深い。
最終話の夕の台詞と演出で完全にダメになった。夕と優子の過去話で夕は嘘をつくときまばたきをする、というクセが指摘されていた上で、「さみしくもつらくもない」ではまばたきをし、「俺はもう大丈夫だ、心配するな」ではまばたきを堪える演出はシンプルだが強烈だった。さらに、後のシーンでミズキ(未来)が夕に対して「誰かのためにつく嘘は嘘じゃないんですから」と語りかけることがどれだけ夕にとって救われることか……
キャラクターの過去や心情が分かったうえで、どう演出されていたかを知るために何度も観返したいと思える作品だった。
SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜
ドラマ版のみ視聴。
クセの強いキャラによる超能力×刑事もの。トンチキエンタメとして楽しめた。
ジョジョ3部を読んでいることを前提として、時をとめる能力、星形の痣、止まった世界への入門を描写することで、物語上で明かす前にニノマエ=当麻と血縁関係=陽太(当麻の弟)の事実を示唆するのが謎のテクニックで笑った。
ニノマエ戦の攻略方法もジョジョとかの能力バトルものっぽくてよかった。
ただし、物語としては「法で裁けない超能力犯罪者をどう裁くか」に対しての答えを一切出さないまま終わったり、最後の最後で記憶を操る能力者を出して今までの過去のエピソードをひっくり返されたりと、雑な部分があった。やはりトンチキエンタメとして楽しむのがよさそう。
バベットの晩餐会
いがみあってた村人たちが素敵な晩餐会によって心を許しあう描写や、自分の財産を投げうってまで尽くす主人公に心温まる物語のようでいて、田舎者や清廉さに対する強烈な皮肉にも思える作品。
バベットが財を投げうってまで用意した晩餐会に対し、村人やバベットの主人である姉妹はその食材に偏見を持ち一切味わうことのないよう結束していたり、村の外からきた軍人が料理についての蘊蓄を語りながら絶賛したら手のひらを返すように味わいだしたり、姉妹は料理に対して偏見を持っていたことを一切バベットに謝罪することがなかったりと、ハートフルなものとは受け取れなかった。
自分を受け入れてくれた人のために奮った料理の良さは当人に伝わらず、むしろ自分を追い出した都会の人間には理解されることの皮肉さが、バベット自身の「芸術家は貧しくない」でさらに強調されているようだった。
根本的な隔たりが視聴者には開示されているのに、作中の人物たちが幸せそうな作品、どう受け止めればいいんだ……
私の息子が異世界転生したっぽい
異世界転生もので残された側を描く作品は「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった」ぐらいしか知らないので新鮮。
異世界転生ものに救いを求める二人の話。物語が誰かに寄り添うものとして描かれるとグッと来てしまう。
ワールドトリガー
最新巻を読みました。ランク戦でいろんなキャラを描いたうえでチームシャッフルさせたドラフトをやるとこんなに面白くなるんだ……
既刊とファンブックを読みながらドラフトをじっくり読み返したい。
シャッフルチームが絶対に面白いことはプリティーシリーズで証明されているので今後も楽しみ。
滅びの前のシャングリラ
同作者の「流浪の月」がよかったので2021年の本屋大賞ノミネート作品である今作も読みました。相変わらず文章が美しい。
令和を舞台にした終末ものは今現在の現実とのつながりを感じる(今作の場合、コロナではなく小惑星の衝突という明確な終末が見えているが)。
そうした終末だからこそ成立した人間たちの成長、関係性が儚く美しい。
サブタイトルも「シャングリラ」「パーフェクトワールド」「エルドラド」、とどれも理想郷を意味する言葉で構成されている。その中で、スピンオフの作品だけ「イスパハン」と、世界の"半分"を意味する言葉であり、得られなかったもう一つの世界に思いを馳せる雪絵に対して、儚さや祈りのような感情を抱く。
世界最後のライブで、終末を目前に一人歌う路子に対し、楽器の演奏が続くラストの美しさに鳥肌が立った。
来週は待ちに待ったガルパのハロハピ3章(本当に待った……)や、プリンセス・プリンシパルの新作があるので楽しみ。
今週観た/読んだものの話。-4
今週はロンドン・ナショナルギャラリー展に行きました。
自分から美術展に行くのは初めてで何をどう見ればいいのかわからなかったので1冊美術鑑賞の本を読んでから向かうことにしました。
絵に惹かれたときに惹かれる理由がどこにあるのか、という観点で説明された本で、リーディングラインや構図の繰り返しの話は自分が物語を読むときに気にしてるポイントに通ずるものもあるなと思いました。有名な黄金比や分割線に関してはあまり理解できなかった。
肝心の美術展はというと、結構楽しめました。
実物を見ると塗りの立体感とかが全然違ったり、絵がデカいと迫力があって気分が上がる(小学生)。
特によかったと思ったのは「聖エミディウスを伴う受胎告知」と「鹿狩り」。
【第1章】カルロ ・クリヴェッリ - 【公式】ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
【第2章】フィリップス・ワウウェルマン - 【公式】ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
「聖エミディウスを伴う受胎告知」は入ってすぐに観れる目玉展示のひとつで、描き込みや立体感がすごくてとにかくデカかった(小学生)。
「鹿狩り」は画面左にいる白い馬に乗った貴婦人に躍動感があったり、青と白の色遣いが綺麗で目を惹かれました。カードゲームのイラストみたいでカッコいい(小学生)。
この他にも多くの作品が展示されてて長々と楽しめました。
その後、上の階で現代芸術の展示も無料で観られるとのことで、行ってみたのですが文脈を一切知らないまま観るには難しすぎた。
帰り際に入口付近で音声ガイドの貸し出しがあったことを知りました……
今週の観た/読んだもの
〇アニメ
・SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!
〇ドラマ
・コタキ兄弟と四苦八苦
〇映画
〇漫画
・ブルーピリオド
・咲-saki-シリーズ
〇小説
・流浪の月
〇ソシャゲ
・プロジェクトセカイ
SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!
今期もやってる作品。前回のましゅまいれっしゅ!!を観てなかったなと思い観始めました。プラズマジカのときより"""カップリング"""が意識されてるっぽく、うれしい。
やっぱ同棲なんだよな。
EDもほわヒメそのものだし普通にいい曲だし好き。
コタキ兄弟と四苦八苦
50手前のおっさん兄弟がレンタルおじさん活動を通して、様々な苦しみを持つ人間と触れあう話。
8話でさっちゃん(兄弟のいきつけの喫茶店の店員)のセクシャリティが明かされたあたりでようやくこの作品のテーマが腑に落ちた。
それまでの回で多くの苦しみを描いてきたからこそ、「この身体で、この心で、生まれてきてしまった。けれどその先は好きにさせてもらうぞ」というセリフが、自身の性的指向による周りの目という壁で苦しむさっちゃんへのエールだけでなく、生に伴う苦しみを持つ全ての人へのエールにもなっていてよかった。
また、この生まれ持ったものからの脱却は、最終話でさっちゃんと兄弟が腹違いの兄妹であったという設定でも上手く描かれていた。
幼いころ偶然出会ったときに、迷子のさっちゃんを励ますためコタキ弟がローマと落書きした狸の置物を兄弟の家で見つけて、彼女は二人を兄のように感じていたのだと思い出す。
さっちゃんは二人が実の兄であることは知らないまま、けれども二人を兄のように親しい存在と感じて分かれる。
生まれ持っての兄妹という絆ではなく、何も知らないまま出会った幼少期や、喫茶店で過ごした日々によって得た絆を大切にするというのが印象的。
苦しみだらけでも生きていこう、俺たちが祝福する。そんな人間賛歌。
ゴーン・ガール
妻の失踪から始まり夫や妻の秘密が明かされていくミステリ。
かなり性格が悪く夫も妻もそれを取り巻く人間もだいたい最悪。
終盤、妻が逃亡先の別荘(?)で強盗に遭うところで笑う。
また、更なる逃亡先の元ストーカーの友人の家で夫の会見を観て惚れ直してるのを見て最後は殺されて夫がほくそ笑む寓話みたいな形で終わるのかなと思っていたら、想像以上に妻が強くて最悪の人間だった。
最悪のラストだけど妻は夫に惚れ直してるし夫は流されて満更でもなさそうだし周囲の人々も祝福してるしハッピーエンドなんでしょう、EDの音楽とも呼べない音が死ぬほど不快でしたが。
EDも含めてたっぷり不快になれる映画でした。面白かったけど映画を観て不快になりたいわけじゃあないんだ……
今月は暴力系の洋画しか見なかったので2月はハッピーな感じの映画を観たい。
ブルーピリオド
アニメ化おめでとう。9巻の発売に伴って1巻から読み返してコミックDaysの定期購読で連載分まで追いつきました。
ロンドン・ナショナルギャラリー展に行くこと自体はこれを読む前から決めてたんですけど読んだらさらにモチベーションが上がりました。
最新話のネタバレになるんですけど、1話や、2次試験、最新話と要所要所で「美術は文字じゃない言語」というテーマをつかってくるのがズルい、熱い。
しかも2次試験での世田介→八虎との対比になっているのもニクい。
咲-saki- シリーズ
咲シリーズはシリーズ全部発売日をそろえてくれるのが助かる。
阿知賀編完結したと思ったら続きでたのにはビックリしたし本編でやってる決勝戦を普通に描いてるのにも驚く。
本編・阿知賀編をベースに怜やシノハユで世界観がどんどん広がるのが楽しい。
団体戦後も個人戦とか世界大会とかの風呂敷も広げてるので長く楽しめるコンテンツ。
スピンオフをやればやるほどスポットライトの当たるカプも増えるので会社立ち上げて咲プロジェクト化してほしい(?)
流浪の月
2020の本屋大賞作品かつ2021の本屋大賞ノミネート作家ということもあり外れないだろうと購入。結果めちゃめちゃ良かった。
無理解の善意という形で描かれる社会の厳しさに対して、文章がものすごく美しい。
主人公の更紗が持ち帰る思い出のワイングラスを「心地よい重さの愛」と表現しているところが詩的で綺麗。
また、幼少期(誘拐期間)の生活があまりにも理想的すぎて泣けてくる。
怠惰と勤勉が混ざり合い、中間にならない生活、更紗と文の交わりが美しく表されている。
この幼少期が美しすぎるからこそ、その後長く続く成年期の描写がつらい。
善意によって会話に蓋をされる息苦しさが、彼氏のDV描写と重なるのがつらいけど巧くてどんどん読み進めてしまう。
更紗が周囲の善意を捨て去り、文と共にいつづけることを決めたのち、初めて文の視点になる4章もよかった。更紗にとって文は安心できる救いの存在で、文にとっても更紗は自分の鎖を解く救いの存在であったことが……展開としては予想がつくけれど、ずっと更紗の成年期が描かれることでぼやけてしまった幼少期の生活が、どれだけ輝かしいものであったことかを文視点で再び語られることで沁みいるものがある。
これを読む前に「コタキ兄弟と四苦八苦」を観ていたことで、読んでるとき「この身体で、この心で、生まれてきてしまった。けれどその先は好きにさせてもらうぞ」というセリフを思い出して泣くことになった。
エピローグとなる5章も、流浪を続ける二人を月にたとえる表現(タイトル回収!)が美しく、心地いい読後感だった。
読んだらアイスが食べたくなります。私は買いました。
プロジェクトセカイ
「25時、ナイトコードで。」のストーリーが現代っぽいテーマの詰め合わせでよかった。
「ワンダーランズ×ショウタイム」はガルパのハロハピっぽい印象を受けていたが、話の中身はむしろラブライブ!サンシャイン‼に近く、別方向から殴られる形になった。
オリジナル曲の「セカイはまだ始まってすらいない」のノスタルジックな歌詞と明るい曲調のギャップが好き。
司やえむはプロなどの外の世界に目が向いているのに対し、鳳えむは祖父との思い出の場所であるステージに焦点があり、第一印象に反してメンバーの中では一番感傷的っぽいのでそこをどう描いていくのかに期待。
それはそれとして司えむの少女漫画感が好き。
イベストも読んで追いつこう。
毎週色々観て感想を書くこの試みもなんとか1か月続けることができた。このまま続けていきたい。
今週観た/読んだものの話。-3
今日は出かけた先で財布をなくしてどっと疲れました。
クレジットカードの停止と再発行をお願いした矢先に財布が見つかったという連絡があって安心感と徒労感で魂が抜けそうです。
しばらくはクレジットなしの生活、あたらしいカードが届いたら諸々の登録を変える必要があり、憂鬱。
今週の観た/読んだもの
〇ドラマ
〇映画
・さんかく窓の外側は夜
〇漫画
・さんかく窓の外側は夜
〇小説
推し、燃ゆ
重版出来!
出版業界漫画が原作のドラマ。やはり創作者の物語は熱いし漫画家と編集者以外にも営業や本屋にもフォーカスが当てられていたところが面白かった。
1話のメインだったベテラン作家が物語途中から頼れる存在として描かれ続け、最後の大きな賞を獲得したのが説得力がある。また、授賞式で長年続けたシリーズの完結、新作の制作を宣言したことが熱い。
7話が好き。誰にも見出されなかった作品が、自分の嫉妬した天才にだけは理解されたこと……見つけられる幸福……
ファイト・クラブ
暴力!興味の沸く洋画のチョイスがことごとく暴力。だいたい善性が暴力性に屈するので心が荒んでしまう。
この作品も二重人格の主人公が最終的に自身の暴力的側面を止めるために自害という選択、つまり暴力による解決を選んでしまい、破滅のラストを迎えてしまう。
面白かったです。負けないで善性。
さんかく窓の外側は夜(映画)
原作の積んでた分を消化してから観に行きました。
登場人物の性格も話の展開も原作とは大きく変わっていて、世界観とキャラ設定を一部抽出してテーマを一つに絞ってまとめ上げた印象。
原作6巻までの要素を拾いながら一つの話にまとめるには仕方がないにしても色々見たかったシーンがなかったのは残念。
特に、冷川とエリカの根幹になる部分が変わっていたので、原作とは全くの別物として観た方が精神にいいと思いました。
テーマを「だれかみつけてほしい」のみに絞り、「僕(俺)といれば怖くなくなります」というセリフで最初と最後を結ぶのは綺麗だった。また、これがテーマだと考えるとエリカの設定改編も納得ができます。
さんかく窓の外側は夜(原作)
5巻あたりから積んでいたのを一気に読み返しました。
映画には一切その気配はありませんでしたが、エリカと逆木がビジュアルも関係性も好き。冷川と三角が能力で繋がるときは快楽を伴うのに対し、エリカと逆木は痛みを伴い繋がるのが対称的でカッコいい。
また、原作では迎くんがいることで価値観のバランスが絶妙に保たれていると思った。善人だけどちゃんと第三者的な立ち位置のキャラが存在すると安心できる。
エリカが三角の言葉で人を助ける自分を信じようとするくだりや、半沢夫妻とのやりとりで罪に向き合う話が好きです。
推し、燃ゆ
本屋で並んでいて気になったまま買わずにいたら芥川賞を取ったので慌てて購入、読みました。
「推し活」「二つの病名(おそらく発達障害と鬱)」「SNS」と正に現代を象徴するようなものが題材の話。推しを推すこともノイズまみれでまとまらない思考もSNSの煩わしさも身に覚えがあり、他人事とは思えない。
アイドルに対して解釈するという行為は、現在のアイドルに対するファンの姿勢として解像度が高い。また、十人十色あるアイドルとのかかわり方の一つとしてその姿勢を挙げるのも良い。多様性なんだよな。
物語全体を通して、生理、にきび、涙、垢、ほこり、便器、嘔吐など、排泄に関する描写が散りばめられており、それらが最後の綿棒入ったケースを叩きつけるシーンに繋がるのが文体として美しい。
生きてるだけで嫌でも老廃物は溜まっていき、それらを排泄しなければ生きていけない。それは感情も同様で、溜めこみ続けた感情はどこかで排泄されてしまう。そうやってなんとか生き続けてしまうのだろう。
他には虹ヶ咲のアニメやろこどるを観返したりしていました。
ろこどるを観ると身体中の悪いもの全てが取り除かれる気がして健康に良い。
今週観た/読んだものの話。-2
久しぶりに本屋に行って色々物色したのですが、やはり楽しいものですね。
今期アニメは「SK∞」が面白そうで、「ウマ娘」の2期2話がすごい熱くて涙腺にきました。
今週の観た/読んだもの
〇ドラマ
・カルテット
〇映画
〇漫画
・夢の端々
・ぼくとねこ
・最果てのソルテ
・狭い世界のアイデンティティー
・呪いと性春
・裏路地浪漫屋物語
・繭、纏う
・戦争は女の顔をしていない
〇小説
・白日
カルテット
主役4人について、キャラが立っているようでみみっちさや立ち位置のハッキリしなさが作中で描かれる才能のなさとマッチしていて味を感じる。
また、起きる問題や人間関係のぐらつきに対しても答えを出さず曖昧にしたままグダグダと進んでいくのだが、それが「人生をやり直すスイッチを押さない」という作中唯一明言した選択をより際立たせるものになる。
この不可逆性については作中でから揚げにかけたレモンやドミノなどで象徴的に何度も描かれている。主題がわかりやすくあらゆる方法で表現される作品が好き。
それはそれとして来杉有朱という目が笑っていない元地下アイドルの女が好き。
金を掴まされたら知人だろが傷口に塩を塗り込むし車パクッて人の楽器売ろうとするし海に沈められそうになったり株で大損こいたり店長をハニートラップにかけようとしたら失敗してバイトクビになったりするところ全てが愛おしい。
主役4人が自分たちの悪評を利用した一世一代の大勝負をかける傍らで外国人セレブ捕まえて「人生、チョロかった!」と高笑いするシーンは何度でも観たい。
タクシードライバー
教室にテロリストが襲撃されたらみたいな妄想を実現しようと色々暗殺グッズを交錯するパートが好き。アメリカでは銃が比較的簡単に手に入るもんな。
主人公のトラヴィスが調子に乗ってこれから襲撃する議員のSPに話しかけて怪しまれて計画がとん挫するのが笑えるし、そのままヤケになって売春グループの男たちを襲撃した結果市民のヒーローのように持て囃されるのが良くも悪くも彼の人生のままならなさを感じさせる。
また、この流れついて相当性格が悪く描かれている。
ヒロインは2人いる。1人は選挙事務所で働くベッツィ、もう1人は売春を行う家出少女アイリス。
ベッツィは仕事上議員を応援してはいるが、政治について適当な返しをするトラヴィスを好ましく感じていたり、選挙で優勢な議員の演説で浮かない顔をしていたりと、議員に対して快く思っていないような描写がみられる。
アイリスは売春グループの一人の男を愛していた。
つまり、トラヴィスによる議員の襲撃の失敗からの売春グループの襲撃は世間にとってはどちらも喜ばしいものであったが、ヒロイン二人にとって良いものであった訳ではなかった。
ここも含めてトラヴィスの人生が滑稽に描かれている。
特に、アイリスに関してはトラヴィスの襲撃後、彼女の家族から感謝の手紙が届くが、一切本人が映されることはなかったのが悪いなあと感じた。
夢の端々
最高の百合漫画。
認知症の主人公が記憶をたどっていく形で進行する物語。
主人公が忘れていく記憶の中で最後まで残ったものが一番鮮烈で大切な記憶であるということを、時系列を遡って描くことで読者にも追体験させる構成が上手い。
読み返すとありとあらゆるセリフがつながっていることが発見できる。
貴代子が離婚する際、「家事は誰にでもできることではない」とミツが力説したことは、貴代子が結婚する際、仕事ができないことの劣等感が原因と語っていたから。さむいさむいと言いながら2人でアイスを食べていたかったのは、冬の山で心中しようとした日があったから。
また、読み返すと1話の「1秒でもなにかが違ってたらきっと私たち出会ってもいなかった」というセリフの破壊力が倍増する。心中しようとして、失敗して、帰ろうとしたら事故で心中未遂がバレて、仕事が上手くいかず結婚して、妊娠して、運試しに失敗して、と何もかも間違えた結果、今の二人があることが分かってしまったので。
ミツが真澄に手袋の中身を見るか聞くシーンが好き。貴代子との唯一無二の絆を他人と共有できる過去のものにしてしまうかどうかの瀬戸際だったんだなあ。
本屋に上巻がなかったから電書で買ってしまったが紙で色々振り返りながら読みたい。
ぼくとねこ
現在のコロナ禍をモチーフにしたポストアポカリプス世界の話。
シンプルな絵柄とコマ割りだからこそ描かれる生活や感情に親しみを覚えるし24話でめちゃめちゃ泣くハメになるし最終話の景色が鮮烈になる。
別作画で単行本化されたり映画化されることで過剰な飾りつけがされてほしくないけどこの作品を多くの人に知ってほしい。
最果てのソルテ
一番好きな漫画家・水上悟志先生の新作。
最初のページから戦国妖狐2部の手法を使っていて最高のクライマックスを約束してきた。タイムリープだったり、ファンタジー世界なのに変容する景色の中にビル群があったりと、お得意のSF描写もありTHE・水上悟志を感じられる。
連載も隔月以下のペースなので、ゆったり楽しみたい。
狭い世界のアイデンティティー
そんな……水上悟志先生が繰り出すカッコいい必殺技がただの掌底の前に敗れ去るなんて……
ハイスコアガールも好きだけど押切作品はゆうやみ特攻隊みたいなアクション漫画がもっと好き。ぐらんばあ2、気になる。
呪いと性春 文野紋短編集
タイトルの通り、呪いと性と青春を題材にした退廃的な雰囲気の短編集。
こうした作品では珍しく(感じる)、あとがきで作品の意図について結構書かれている。
作品について色々文字で語るのはダサいみたいな風潮があるけど私は読めるものなら読みたいので嬉しい。
そんな中かなりショッキングな作品の「毒は廻る」についてのあとがきが一言だけだったことについては……
このような多数からみて「良」とされない者について描いた物語があることで誰かが楽になったり見つけられた感覚になるといいな、という祈りがある。
「救われる」というと大げさで強い感じがするけれど物語によって「見つけられる」という感覚を大事にしていきたい。
裏路地浪漫屋物語
絵柄がかわいくて表紙買いした百合短編集。
絵柄通り綺麗でかわいい話が詰め込まれていてうれしい。
「15分の匣庭」の関係性や言葉遣いが本当に綺麗でよかった。
繭、纏う
中等部から髪を伸ばし続け、高校を卒業する際に髪を切り、その髪で制服が作られる、という学園が舞台の百合。
洋子の言う「王子なんかやめちゃえ」がどれだけ華にとって鋭い言葉だったかが巻を重ねるごとに判明していく。
戦争は女の顔をしていない
軍役のロシア人女性の体験談を描いたオムニバス。
過度に悲劇的だったり武勇伝のように描いたりすることなく当時の生活のあり様を描くのは「この世界の片隅に」っぽさを感じる。
監修の速水螺旋人による巻末の過密コラムで「靴ずれ戦線」を思い出す。
白日
「機龍警察」シリーズが好きで買った月村了衛先生の現代ミステリ。
弱音を吐く社員のヤジだったり嫌なタイミングで常にあらわれる不気味な同僚だったり随所で月村先生っぽさを感じる。というか飴屋は「機龍警察」の小野寺の親戚かなんかでしょ。
欺瞞だらけの社会の中で無垢な子供の実直さが流れを変えていくのは素直に熱い。
「完全な黒も白もないなら、その狭間でできることをしよう。乗客にレールの汚れは関係ない」というのは現実的な落としどころであり、切実な祈りでもある。
今週も挙げる作品が多かったので、思いつくがまま書いたとはいえ時間がかかった。
もう少し書く作品数減らすか各スピードを上げていくかしないと続かなさそう。
次週もやっていく。
今週観た/読んだものの話。-1
ひさしぶりに書きます。
2020年は「Tokyo 7thシスターズ」にハマって30ページ弱のスライド資料を作って知り合いに薦めたり、「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」にドハマりして、初めて二次創作の漫画を描くなどしていました。
本当にいい作品だし私は多感な中高生時代にこの作品と出会って夢を持ちたい人生だったと生まれた時期を悔やんでいます。私の代わりに世界中の中高生がこの作品と出会い、夢を持つことに前向きになってほしいという祈りがある。そのために一般家庭が登録しているであろうアマプラかネトフリで配信してくれ。
それはさておき2021年はアニメ漫画に限らず映画ドラマ小説もたくさん観ていきたいなと思い、こんな目標を立てました。
〇毎月の目標
・映画館で映画を1回見る
・本(小説等)を2冊読む
〇毎週の目標
・配信サービス等で映画を観る
・アニメorドラマを1クール観る
・感想ブログを書く
とりあえず習慣付けることを目的に立てました。
感想について、最初はTwitterで書いているものの延長線のような感じで慣れてきたらガッツリ書いていきたいです。
タイトルのナンバリングは続けていくぞの意思表示。
というわけで今週観た/読んだもの(今回は1/1~1/10までで)
〇ドラマ
・アンナチュラル
・MIU404
〇映画
・セブン
〇漫画
・メタモルフォーゼの縁側
・あした死ぬには、
〇小説
・裏世界ピクニック5巻
・虐殺器官
・青い春を数えて
ざっくり感想を書いていきます。
アンナチュラル
去年映画「罪の声」を観てテンポの良さとテーマの織り込み方が上手いなと感動したので野木亜紀子脚本の作品を他にも触れたいと思ったので観ました。
作中のなにげないやりとりがその回だったり作品終盤だったりの印象的なシーンに繋がってくるような描写が何度もあって観てて気持ちがよかったです。
4話の責任の擦り付け合いを始める三銃士、脅迫状を自分宛だと考えるUDIメンバー、そして中堂の「罪のない人間なんているのか?」の流れが綺麗。
8話の三郎と六郎(今書いてて名前が意図的に似せられていることに気づいた)の帰る場所の変遷について対比で描かれていく怒涛の終盤があまりにもよかったですね。
8話で描かれた六郎の居場所については最終話で再構築されるところまで含めて本当によかった……
また、ミコトの「同情なんかされたくない」というセリフが中堂に対して「同情なんてしてあげない」という優しさを表すセリフや最後の高瀬に対する「心から同情します」という攻撃的なものに転じたりとセリフの扱い方が上手すぎる。
MIU404
「アンナチュラル」を観て興奮した結果そのまま同じく野木亜紀子脚本のこの作品も一気に観てしまいました。週1クール観る目標をいきなりオーバーしてるとこの先続けられるか不安になってくる。だけど鉄は熱いうちにとも言うので……
各回ここが見せ場!という部分をわかりやすく提示してくれるし登場人物も癖があってかなり見やすかった。それでいて登場人物の成長や関係性が回を経るごとに変わっていく描写が丁寧で満足度が高い。
あと主題歌である米津玄師の「感電」がめちゃめちゃ良い。
「アンナチュラル」主題歌の「Lemon」と同様、作品とのリンクと作中での歌の入り方がえげつない。
サビの「たった一瞬のこの煌めきを」という部分がその回のクライマックスと見事に重なる4話を観たときはあまりのカッコ良さにボロボロ泣いてしまった。
作品全体を通して「たった一瞬の煌めき」が描写されていながら最後の最後で「生きて俺たちとここで苦しめ」という真逆のセリフが使われるのも痺れた。
上記みたいな主張の異なる両者をどちらか一方に傾けることなく描くバランス感についても言及したいがあまりまとまっていないので何回か観て咀嚼していきたい。
九重くんが好き。3話を観て九重リベンジ回を頼む~~~と願っていたら見事に9話で手を叩くことになった。
警察官でいられない行動をしてしまったが最期には警察官として生きた香坂、立派な警察官だったが憎悪の獣に成り果てた蒲郡、メイン二人それぞれに縁深いこの二人が対称的に描かれているのも上手い。
何回も言うけど「感電」がクソカッコいいので聴いてほしいし観てほしいです。
セブン(SE7EN)
「アンナチュラル」「MIU404」を観たのでミステリとかサスペンスがいいなと思いこの作品を観ました。
犯人の目的である七つの大罪と作中の死者の数が合わないなーとか思って結局感想解説を読み漁ったら殺された妻のお腹の子がカウントされているという「ぼくらの」みたいなトリックが。むしろ「ぼくらの」を読んで「セブン」かよと思うのが正しいのだろうが……
犯人の背負った「嫉妬」の罪もしっくりこないなーとか思ってたのだけれど八つの枢要罪に転じて~……みたいな読み方があるらしく、ほえ~と感想解説を読んでいた。
上記の読み方が正しいかどうかは別として自分でもそういった知識と結びつけながら作品を味わえるようになりたいと思うので、自分の中である程度咀嚼した作品については他の人の感想なども読んで知識や視点を積み重ねていきたいと思った。
メタモルフォーゼの縁側
女子高生と老婦人がBLを通して親睦を深めていく物語。1巻からずっと追っていた作品なので完結したのが感慨深い。
何かを始めるのにも友人関係にも年齢は関係ないと感じさせてくれる優しさや、一つの出会いが新たな出会いやこれまであった知人との関係の変化に繋がっていく様子が丁寧に描かれていて心地いい。
あした死ぬには、
「メタモルフォーゼの縁側」とは対称的に自身の年齢や迫りくる死期を考えさせられる話。
2巻の実家引きこもりの話に出てくるシーンがどこを切り取っても厳しく10年20年と経ってからまた読むと異常に刺さってしまいそうで怖い。
野球観戦回は心地良く読めた、何かに夢中な人を見るのって楽しいよね。
裏世界ピクニック
18きっぷで実家から大阪に戻る間に読みました。18きっぷでの帰省は小説をもっていくと時間があまり気にならなくておすすめ。
今期アニメが放送中。
主人公の空魚がさも一般人かのように語り手を務めていて段々その歪みに読者が気づいていく様子が面白いのだがアニメではどうしても第三者視点になってしまうのでそこをどう描くかが気になる。
5巻はその信頼できない語り手である空魚が相棒である鳥子の視点で自分を観ることで自身の認識の偏りや鳥子の好意に気づく展開が百合的にも熱かった。アニメでもここまでやってほしいが尺的に無理そう。
虐殺器官
これも18きっぷの鈍行電車内で読んだ。読み切れなかった残りは家で。
「ハーモニー」は読んでいたので次はこれを、と読みました。
「ハーモニー」でもそうなんですけど投薬やカウンセリングによって意識がコントロールされている社会において自我の所在について問われるのが本当に怖い。文字媒体だとそれについて考えることから逃げられないので恐怖や不安を駆り立てられる。SF小説苦手かもしれない。物語を読んだ後はやっていくぞという気持ちになりたいので。
主人公のクラヴィスは罰せられることで赦しを求めたが、ルツィアが死んでしまったことで罰を取り上げられてしまうシーンが死者は赦すことも罰することもない世界がとても厳しくつらい。死者が死の間際にいる者の前にあらわれ言葉を交わす世界である「鬼滅の刃」の優しい世界を知ってしまったのでなおさら。(死にゆく者がみる幻想という主張は時透兄弟のやりとりや善照の祈りを否定するものなので当然棄却されます)
そういう厳しい世界の中でウィリアムズが「油っぽいビッグマックを食いきれなくて、ゴミ箱に捨てる世界を守るとも」と言い切ったこと、それを言える人間が存在することがせめてもの救い。ウィリアムズは死に、ドミノ・ピザの普遍性は失われたわけですが……
青い春を数えて
「響け!ユーフォニアム」で有名な武田綾乃の連作集。
同作者の「その日、朱音は空を飛んだ」を読んだ後に買ったものの積ん読状態になっていたので読みました。kindleセールで買って読めていないものが結構あるのでここを崩していきたい。
思春期の少女たちの抱える痛みや葛藤はどれも青くて未熟だけれども当人にとっては切実なものである。そしてそれはきれいさっぱり解決されるわけではなく、痛みを抱えながらも少しでも変わろうとする姿が描かれ、寄り添い方が真摯に感じる。
好きな話は「側転と三夏」。自分より勉強も運動もできないけれど愛嬌のよさから人に愛される姉と、そんな姉にたいして劣等感を持つ妹の話。
姉の愛情と姉を憎めない自身に気付くシーンの後、どこか淋しさを感じる祖母の家を姉の騒がしい足音が掻き消していく描写が夏のさわやかさを感じさせて気持ちがいい。
ここまで感想を書いてきましたが、その週読んだものの感想を全部書いていたらめちゃめちゃ時間がかかるし続かねえわと思ったので次回からは感想はいくつかピックアップして書こうかなと思います。